ガラスの魔法
可愛いアリスは今日もせっせと
文句も言わず働いてた
汚れた服とパサつく髪を
気にかけている余裕もなかった
日が傾いた空には
三日月が浮かんでいる
暖炉のそばでミルクを飲んで
幸せでも不幸でもない
けど何か足りない
昔読んだ夢物語
魔法使いが現れて 全てを変えていく
かぼちゃの馬車 白いドレス 髪飾り
ねぇ私にもかけてよ その杖を一振りして
夜を越えても消えなかった 硝子の魔法を
忙しいアリスも今日はお休み
野原で一人寝転んでた
白いウサギは来ないのかしら
ほら今日もまた日が傾いて
夜が空を削りきる前に
さぁ帰らなくちゃ
立ち上がったその足元に
踏みつけられてた草は
どこにでもあるクローバー
少しよれた4枚の葉っぱ
魔法は使えないけれど 呪文唱えてみる
部屋も服も髪も全部前のまま
ねぇ私に教えてよ 幸せになりたいから
夜を越えても消えなかった 硝子の魔法を
太陽が夜を 容赦なく削る
月は笑ってる ニヤニヤ
私のこと
魔法使いが現れて 全てを変えていく
馬車もドレスも全部夢物語
かき消されてしまう月も 今は微笑みに見える
この喉から零れる音が 硝子の魔法